新型コロナウイルスが世界的に広がっているなか、PCR検査という言葉を毎日のように耳にしていると思います。PCR検査とは遺伝子検査の技術を使って、原因になりうる細菌やウイルスを高感度で検出することができる手法で、Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の頭文字をとってPCRとされています。じつは。このPCR検査は獣医療でも取り入れられていて、より確実な診断をするために有効な検査なのです。今回は感染症に関する主なPCR検査を紹介します。
猫下痢パネルとは?
下痢は猫でもよく見られる疾患です。動物病院に行くと、まず便検査をして虫卵や寄生虫を見つける方法が多いのですが、それ以上の検査をすることは少なく、広域スペクトルの駆虫薬や抗生物質で治療することが一般的です。もし、投薬しても改善が見られない場合には、感染性の原因は可能性が低いと考えられて、療養食や対症療法が行われたりします。しかし、便検査での見逃しや病原体の特定に限界があるため確定診断には至らないことも多く、長引くこともあります。そうなれば、猫の健康にも大きな負担がかかるだけでなく、効果が得られないままに治療費がかさみ、飼い主の負担や不満も増してしまうことでしょう。