FRの持つ優位性は今どこに
かつてクルマの駆動方式は、高級車、大型車は後輪駆動(FR)が主流だった。前輪に駆動力がかからないフリーな状態になっていることによりステアリングフィールが自然なものになり、振動関係が有利でもあるため、大パワーへの対応のしやすさやコントロール幅の広さといったメリットによりスポーツモデルもFRを選択した。
一方で実用車はエンジン前置きでキャビンやラゲッジスペースを広く取れることや、コストの安さといった強みを理由に前輪駆動(FF)ということが多かった。
このあたりを考えるとFFは普及品、FRはより高級、スポーティなものとも言えるのだが、元号が平成になったあたりから様相が変わり始めたように思う。タイヤの性能向上や4WDの普及といった技術の進歩があり、FFの高級車や大型車、FF車で300馬力オーバー、FFベースの4WDで400馬力のスポーツモデル、なども珍しくなくなったのだ。そのためFRを捨てFFとなったブランドやモデルも多い。いくつかの例でその是非を考えてみることにしよう。