フェラーリを代表するふたつの博物館探訪記
スーパースポーツカーの代名詞ともなっているフェラーリは、その高い人気を反映してか、世界各地にいくつもの博物館が開設されています。そんな多くの博物館の中でも“本家本元”とされているのが、フェラーリの本国イタリアにふたつある「ムゼオ ・フェラーリ・マラネッロ」と「ムゼオ・カーサ・エンツォ・フェラーリ・モデナ」です。魅力あるそれぞれの博物館で、しばし寛いでみましょうか。
【ムゼオ ・フェラーリ・マラネッロ】歴代F1マシンで熱狂できる展示コーナー
イタリアはモデナ県のマラネッロに拠点のあるフェラーリ本社ですが、そこに併設されている、ガレリア・フェラーリ(Galleria Ferrari=伊。フェラーリ・ギャラリーの意)の愛称で知られているのがムゼオ ・フェラーリ・マラネッロ(Museo Ferrari Maranello=伊。マラネロ・フェラーリ博物館の意)です。
そしてそのムゼオ・フェラーリ・マラネッロと対を成しているのが創業者であるエンツォ・フェラーリの生家に整備されたムゼオ・カーサ・エンツォ・フェラーリ・モデナ(Mef-Museo Casa Enzo Ferrari – Modena=伊。モデナ・カーサ・エンツォ・フェラーリ博物館の意)です。
いずれもフェラーリ自体が運営する企業博物館ですが、前者が歴代のF1マシンなど数多くのレーシングカーや、ロードゴーイングのスポーツカーを展示した、ある意味“いかにも”な企業博物館であるのに対して、後者は広いホールを使った様々な企画展を催すなど企業色を薄めた運営が大きな特徴となっています。
実際に、2013年の冬に初めて訪れた時に後者ではF1GPマシンを集めた企画展が行われていましたが、フェラーリやアルファ・ロメオなどのイタリア勢だけでなくメルセデス・ベンツやポルシェなどのドイツ勢、ルノーやリジエなどのフランス勢、そしてイギリス勢ではウィリアムズ。こうした様々なコンストラクターのF1マシンが展示され、フェラーリ色が特に感じられない内容でした。
さて、ムゼオ・フェラーリ・マラネッロですが、ティフォッシ、いやフェラリスタにとっては、展示されているすべての個体、1台1台に思い入れがあるはずですが、中でもお奨めのポイントは歴代のフェラーリF1マシンが一堂に会したコーナーでしょう。
これまで幾度となくリニューアルが施されてきたはずです、最初に訪れた2013年には明るい感じのトーンで統一されていましたが、2度目に訪れた17年にはシックな黒でカラーコーディネイトされていました。
もちろん並べられたクルマも幾つかは入れ替えられていて、モダンなモデルがノーズを揃えていた13年の展示バージョンに対して、17年のバージョンではフェラーリが初めてF1GPでワールドチャンピオンに輝いたマシン(ただしチャンピオンシップはF2マシンで争い得たものですが)、1952年に、アルベルト・アスカリが出場した6戦すべてで優勝し、そのうち5戦でポールtoウィンを飾ってポテンシャルを見せつけたフェラーリ 500 F2が、すり鉢状のバンク左手前に登場していました。加えて、2007年シーズンにドライバーズとコンストラクターズ、ダブルタイトルを奪回したフェラーリF2007 がセンターの座に飾られるなど、イメージが一新されていました。
またこれは2013年バージョンでの展示でしたが、風洞開発用のスケールモデルを勢ぞろいさせた展示も印象に残っています。
その時々の忘れがたき展示マシン
もちろん、こうしたF1マシンにも興味は湧くのですが、個人的にはスポーツカー、年間100台以上の生産台数をクリアできず、また250GTのエボリューションとしても認められずにGTクラスではなくプロトタイプクラスで出走せざるを得ずに苦戦、悲運のモデルとされた250LMが、最もお気に入りの1台になってしまいました。
編集部の方からは、ここでしか買えないお土産は? などと質問されるのですが、残念ながら当方の博物館巡りでは、お土産として購入するのは資料となる書籍のみ。最近では帰路のエアチケットのオーバーチャージが気になり、お土産コーナーは素通りするのが常でもあります。それでもフェラリスタにとっては、ここでしか果たし得ないクルマとの出会いこそが重要なのです。
初めてフェラーリを名乗った1947年式のフェラーリ125Sから最新のロードゴーイングスポーツまで、ムゼオ・フェラーリ・マラネッロに収蔵展示されている1台1台との出会い、これこそが、大切な思い出となり、欠かすことのできないお土産になるのではないでしょうか。ちなみに、2度目に訪れた2017年の春には博物館は、増築工事の真っ最中で、ここにもまた盛況ぶりが感じられました。
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世界のファンが集う聖地! モデナにある2つのフェラーリ博物館が圧巻の内容だった