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本物のフェラーリが200万円ちょっと…「400i」が新車のトヨタ「カムリ」と同じくらいの値段だった理由とは?

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長らく保管されていた個体

2024年6月12日にRMサザビーズがイギリス・ロンドンで開催したオークションにおいてフェラーリ「400i」が出品されました。写真を見る限りでは美車に見えますが、驚くほど安価に落札されることとなりました。その理由とは?

車両には書類が付属されない

おそらくは何かの間違いだろうと思われたのだが、1979年式のフェラーリ「400i」がわずか1万1500ポンド(邦貨換算約219万円)で、RMサザビーズのオークションで落札されたとある。たしかに車両には書類がなく、一時的な輸入保証によってイギリスに持ち込まれているから、手に入れた際はその輸入保証を解除する必要があると書かれていたものの、それにしても安すぎる気がする。もちろんジャンクものではなく、写真を見る限りボディにデントはあるものの、とても美しい状態を保ったモデルに見える。

と思って相場を調べたら意外と安いことに気付かされた。アメリカではトヨタ「カムリ」を買うつもりならこのフェラーリ400iが手に入るようだから、フェラーリ・ブランドを手に入れようと思ったら、まずはこの辺りを探すのが良いのかもしれない。

さて、4シーターのフェラーリは同社がクルマ造りを始めた比較的初期のころから存在する。最初のモデルは1960年にデビューした「250GTE」。その後の系譜は「330GT2+2」、「365GT2+2」へと受け継がれ、2+2というネーミングなき後は、1年間だけ「365GTC/4」がその役を担った。そして「365GT4 2+2」が1972年のパリサロンに登場する。腰かけ的だった365GTC/4は、後席は存在するもののほぼ役に立たないレベルのシートだが、365GT4 2+2のそれは、立派な4シートと呼んで差し支えないレベルのスペースを持っていた。そして、その365を受け継いで誕生したのが「400」である。

フェラーリ初のATモデル

400はいくつかの点でフェラーリにとって画期的であった。そのひとつが、フェラーリとして初めてオートマチックトランスミッションを採用してオプション設定したこと。もうひとつは1979年になって登場した、フェラーリの量産モデルとして初めて燃料噴射を採用したモデル(「400i」)だということ。こうした新しいデバイスについてフェラーリは昔から採用するのに比較的慎重だった。例えばライバルたちがこぞってディスクブレーキを採用していた時も、フェラーリはドラムブレーキを通していた。

燃料噴射に関して言えば、例えばメルセデスなどは1950年代から「300SL」で採用していたし、ポルシェも1972年に「911」で採用している。ドイツだけが進んでいると思われるかもしれないが、ジャガーやアストンマーティンも1960年代には燃料噴射システムを採用しているから、フェラーリはかなり奥手である。ちなみに世界初のディスクブレーキ装着車はジャガー「Cタイプ」である。

というわけで、ようやく燃料噴射を装備したフェラーリが誕生し、しかもそれは初のオートマチックトランスミッションを備えたモデルでもあって、フェラーリにとっては相当に画期的なモデルであった。もっとも今のような電子制御燃料噴射ではなく、機械式のボッシュKジェトロニックが採用されていた。400iは1979年のトリノショーでデビューするのだが、驚いたことに当時は最も高価なフェラーリとして「512BB」よりも高いプライスタグを持っての誕生であった。

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