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最高約9150万円の予想価格。メルセデス・ベンツSLを鍛え上げたブラバスの取引価値

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7.3リッターV12で582馬力! メルセデス・ベンツ「SLブラバス7.3S V12」の価値をしる

1980〜1990年代に生み出されたヤングタイマークラシックが絶大な人気を博す昨今の国際オークション市場では、この時代に台頭した一流チューナー初期の作品が急速に評価を高めている。2026年7月に開催されたRMサザビーズ社の「Sealed July」は、ごく一部のコレクターのみを対象とした密閉型のオークションだ。出品された希少な名車の中から、最高約9150万円(50万ユーロ)の予想価格が提示されたメルセデス・ベンツ「SLブラバス7.3S V12」の取引価値を紐解く。

メーカー基準を超える仕立てで築いたパフォーマンス集団「ブラバス」の名声と仕事の流儀

1977年にボード・ブッシュマン氏とその友人クラウス・ブラックマン氏によって設立されたブラバスは、40年以上にわたりメルセデス・ベンツの性能限界を押し広げてきた。ドイツのボトロップに本社を置く伝説的チューナーは、妥協のないパフォーマンスを追求することでその名声を揺るぎないものとしている。

かつてコンパクトなW201系190にV8エンジンを流用したり、W124系EクラスにV12エンジンを詰め込むなどの偉業を成し遂げてきた。メルセデス・ベンツのシャシーに大排気量エンジンを搭載し、その強大なパワーに耐えられるようあらゆるサポートシステムを再設計してきたのだ。

そのすべてにおいて、メーカーレベルの洗練された職人技を維持し続けている。1990年代後半までに世界有数のコンプリートカーメーカーとしての地位を確立した同社は、世界中の顧客に向けてオーダーメイド車両を製作する黄金時代を迎えることとなった。

世界最速のオープンスポーツは、582馬力で302km/hを叩き出す「ボトロップの野獣」

この黄金期に誕生した最高峰のモデルの一つが「SL7.3S V12」だ。1995年から2001年にかけて極めて限られた台数のみが作られたこのマシンは、当時のフラッグシップであるラグジュアリーなR129系SLロードスターを、第一級のスーパーカーへと変貌させた。

愛好家たちから「ボトロップの野獣」と称されたこのモデルは、公称最高速度304km/hを記録した。SLが持つグランドツアラーとしての優れた快適性を保ちながら、世界最速クラスのオープンモデルとして君臨したのだ。

チューニングの核となるのは、伝説的な7.3リッターのM120型「S」V12エンジンである。ブッシュマン氏率いる技術陣は、専用ECUの構成や鍛造ビレット素材の削り出しクランクシャフト、再設計されたシリンダーヘッドなど数多くの内部アップグレードを施した。これにより、自然吸気でありながら最高出力582psという驚異的なパワーを引き出している。膨大なパワーを制御するため、722.6型5速オートマチックトランスミッションを強化し、シャシーも並外れた性能に見合うようアップグレードされていた。

モナコで大切に維持されてきたブラバス製フルスペックのR129型「7.3S V12」

今回出品された個体は、シックなアズライトブルー・メタリックのボディにサフラン色のナッパレザーを組み合わせた美しいカラーリングを誇る。

元々はドイツ国内市場向けの「SL600」として製造され、ナビゲーションシステムやキセノンヘッドライト、アルパイン製CDチェンジャー、ダークブルーのソフトトップを装備していた。1999年1月にダイムラー・ベンツのジンデルフィンゲン工場をラインオフした直後、ブラバスへ引き渡されてフルスペックの「7.3S V12」へと仕立てられた。

最高速度330km/h対応のメーターやスポーツサスペンション、アルコン製8ピストンキャリパーを備えたビッグブレーキ、ブラバス製モノブロックIVホイール、専用エキゾーストシステム、大型エアダムスカート付きフロントバンパーなどが惜しみなく組み込まれている。

イギリスでの新規登録を経て、2001年に初代オーナーがモナコへ移住して以来、フランスへ輸出されたのちモナコ公国内で大切に保管されてきた。公式カタログ作成時点での走行距離は4万7000km未満だ。現地専門ショップでの定期的なメンテナンスを受け、ブラバス社発行の認定証明書やボディ同色のハードトップも付属する素晴らしいコンディションを保っている。

コンプリートカーメーカー「ブラバス」の揺るぎない評価が予想最高額「50万ユーロ」の現在地

今回のオークション「Sealed July」は、入札者が相互の提示額を知ることができないシールド・ビッド(封かん競売)の形式が採られた。この種の競売では落札額や予想価格が公表されないのが通例となっている。

しかし、今回のオークションではなぜかエスティメート(予想落札価格)が公表されており、このブラバスSLには45万ユーロ〜50万ユーロ(邦貨換算約8235万円〜約9150万円)という非常に高い水準が提示されていた。

流札することなく無事にオンライン限定で落札に至ったという事実から見ても、上記のエスティメートに近い金額で取引されたことが推察される。認知度の高い人気チューナーの正統なコンプリートカーであれば、ノーマルの車体を遥かに凌駕するマーケット評価が下されるという好例を示したと言えるだろう。

為替レートは1ユーロ=183円(2026年8月11日時点)で換算

■ RMサザビーズ「Sealed July 2026」メルセデス・ベンツ SLブラバス 7.3S V12の注目ポイント

◇希少性とチューナーの血統:1995年から2001年にかけて極めて限定生産されたブラバス黄金期のコンプリートモデル

(メーカー基準をクリアした職人技とV12自然吸気エンジンによる圧倒的なパフォーマンスが国際市場で高い評価を獲得)

◇個体のコンディションと履歴:新車時からモナコで過ごし走行距離4万7000km未満、認定証明書付きの極上車

(アズライトブルーのハードトップが付属し、現地専門ショップで定期的なメンテナンスを受けてきた極めて透明性の高い履歴)

■車両情報

ベース車両:メルセデス・ベンツ SL600(R129型)

チューニングメーカー:ブラバス(Brabus)

エンジン:7.3リッター M120「S」V12自然吸気

最高出力:582ps

最高速度:304km/h(スピードメーター表示330km/h)

トランスミッション:722.6型 強化5速オートマチック

ブレーキ:アルコン製 8ピストンキャリパー+大径ディスク

ホイール:ブラバス モノブロックIV

外装色:アズライトブルー・メタリック

内装色:サフラン(ナッパレザー)

走行距離:4万7000km未満

付属品:ブラバス認定証明書、ボディ同色ハードトップ

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最高約9150万円の予想価格。メルセデス・ベンツSLを鍛え上げたブラバスの取引価値

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