限定M-Specを基にニスモが再構築。500馬力の特別エンジン搭載「R34 GT-R CRS」
Broad Arrow Auctionsが開催したオークションに、日産「スカイラインGT-R(R34型)」の至高のモデルとも言える「CRS(Clubman Race Spec)」が出品された。このCRSの仕様とは、NISMO大森ファクトリーが手掛ける公式のフルレストア&チューニングプログラムだ。「サーキットまで自走、タイムアタックをし、そのまま快適に帰宅」という、究極のストリート&サーキット両立型GT-Rを目指して開発されたモデルだ。ニスモ大森ファクトリーの技術によって仕立てられたこの特別なCRS仕様R34GT-Rと驚愕のオークション結果を紹介したい。
ホワイトボディから3D測定し歪み矯正するなど新車以上のボディ剛性を確保するニスモ公式CRSメニュー
CRSは、ニスモ大森ファクトリーが手がける公式のフルレストアおよびチューニングプログラムだ。車両をホワイトボディの状態まで分解してボディの歪みなどを計測し、現代の最新技術で修正し、さらにスポット増しなどで新車時以上のボディ剛性が与えられるこの仕様は、これまでに20台未満しか製作されていないという。
今回出品された個体は、わずか366台のみが生産されたラグジュアリーグレードの「M-Spec」をベースに製作された初のCRSである。2002年式のベース車両は1万5900kmを走行していたが、2022年7月に約1年がかりのCRSコンバージョンを完了した。ボディカラーは元のパールホワイトから、R32型GT-Rを彷彿とさせる公式カラーのガンメタル(KAD)へと全面再塗装が施されている。

特別製造6基目はGT500パーツ流用の唯一2.8L化されたF-Sport Rエンジンの500馬力仕様
ハイライトとなるのは、心臓部に搭載された「F-Sport R」エンジンだ。2.8リッター化されて500馬力を発生するこの特別仕様エンジンは、当初5基のみの生産が計画されていたが、この個体のために特別に6基目が製造されている。しかもこのR34に搭載されたF-Sport Rエンジンは他の5基と仕様が異なる世界に1基だけの特別仕様となっている。
通常のF-Sport Rエンジンは2.7リッター(2628cc)化され約470馬力仕様となっているが、このF-Sport Rエンジンは、GT500用のブロックやクランクシャフト、コンロッドを使用するだけでなく、究極のZ-tune用ピストンやR1ターボなどが組み合わされ2.8リッター(2771cc)となり、最高出力500馬力まで引き上げられている完全特別仕様エンジンだ。
足回りにはRAYS製のニスモ大森スペックLMGT4鍛造ホイールを履き、R35型GT-R用のブレンボ製ブレーキシステムやオーリンズ製ダンパーが組み込まれた。ワークス直系ならではの信頼性と圧倒的な走行性能を高次元で融合させている。

Z-tuneエアロと入手困難なパーツで仕立てられた完成後262kmの室内
エクステリアはZ-tune仕様のフロントバンパーやフェンダー、サイドスカートに加え、R-Tuneのカーボンフードで力強く武装している。インテリアはM-Spec特有のゴールドステッチ入りブラックレザーシートを維持しつつ、現在では入手困難なニスモ製のマルチファンクションディスプレイやメータークラスターが装備された。
CRSとして生まれ変わってからの走行距離はわずか262kmにとどまっており、完全な整備記録とニスモの保証書が揃った素晴らしいコンディションを保っている。

予想価格に迫る約8555万円で落札されたワークスチューンの評価
世界中のコレクターが熱視線を送る中で開催されたオークションにおいて、本車両には事前に約1億2810万円から約1億5555万円(70万〜85万ユーロ)という非常に高いエスティメート(予想落札価格)が設定されていた。
競売の結果、予想には届かなかったものの、約8555万円(46万7500ユーロ)という高額で落札された。自動車メーカー直系のワークスNISMOチームが過去の名車に持てる技術を尽くしたこの佇まいは、R34型GT-Rが世代を超えて語り継がれる伝説であることを世界に向けて静かに証明している。
相場という物差しでは測れない「R34 GT-R CRS」の価値
一般的な中古車とは異なり、ニスモ大森ファクトリーがホワイトボディから再構築したCRSには、そもそも比較対象となる市場相場が存在しない。さらに今回の個体は、M-Specをベースとした初のCRSであり、F-Sport Rをベースにさらにチューニングレベルを上げた特別ワークス製造エンジンを搭載するなど、個体としての希少性も極めて高い。

だからこそ、約8555万円(46万7500ユーロ)という今回の落札価格は、単純なR34型GT-Rの中古車相場だけでは説明できない。この金額には、ニスモ大森ファクトリーによる製作背景、現在では入手困難なパーツ、CRS完成後わずか262kmという走行距離、そして「ニスモが公式に手を入れた特別な一台」というストーリーまで含めて評価された結果といえるだろう。
まさにこのCRSは、価格相場で価値を測るクルマではなく、その存在そのものがコレクターズアイテムとなったR34型GT-Rなのである。
※為替レートは1ユーロ=約183.31円(2026年8月11日時点)で換算
■The Concorso d’Eleganza Villa d’Este Auction 2026 2002年式 日産「スカイラインGT-R CRS by NISMO」の注目ポイント
◇ワークス公式レストア&チューニングメニューが施された希少なベース車両
(ホワイトボディから再構築する20台未満の「CRS」であり、366台限定のM-Specをベースにした唯一無二の個体)
◇特別に製造されたパワーユニットと完成後262kmのコンディション
(当初5基限定のF-Sport Rエンジンを本車両のために6基目を特別製造し、さらにチューニングレベルが高められた500馬力仕様となった唯一のエンジンを搭載するモデルで、CRS完成後わずか262kmという極上の履歴)
■車両情報
車両名:2002 Nissan Skyline GT-R CRS by NISMO
シャシーナンバー:BNR34-404238
エスティメート:700,000から850,000ユーロ
落札価格:467,500ユーロ(約8555万円)
ボディカラー:ガンメタル(KAD)
ベース車両:2002年式 GT-R M-Spec
走行距離:CRS完成後 262km
エンジン:NISMO 2.8リッター F-Sport R(500 PS)
主な特徴:ニスモ大森ファクトリーによるフルレストア(CRS)、Z-tune仕様エアロパーツ、R-Tuneカーボンフード、RAYS LMGT4ホイール、R35 GT-R用Bremboブレーキ
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約8555万円で落札。ニスモ大森ファクトリーが手掛けた20台未満のR34 GT-R
