純正イエローを纏うフェラーリ「365 GT4 BB」は北米上陸1号車にして、当時の「Car and Driver」表紙を飾ったメモリアルカー
1971年のトリノ・ショーで発表されたフェラーリ「365 GT4 BB」は、それまでフェラーリ社の主力V12モデルであったFRの「365 GTB/4 デイトナ」から一転、エンジンをドライバーの背後に載せるミッドシップレイアウトを採用した革新的モデルだが、1973年から1976年までのわずか3年間で387台しか生産されずに短命で終わった。しかも排ガス規制に厳しかった北米への正規輸出はゼロ。そんな中、数々の規制をクリアして生産最終年、アメリカに並行輸入されたイエローボディの365 GT4 BBが、正式に公道適合を受けることに成功。その記念すべき365 GT4 BBが、当時の黄色いボディカラーを纏ってオークションに登場した。
純正イエローを纏うわずか38台の希少性と米誌表紙を飾った米国第1号車の歴史
フェラーリ「365 GT4 BB」の総生産台数はわずか387台である。その中でも、今回出品された個体のように鮮やかな純正イエロー「Giallo Fly(ジャッロ・フライ)」のボディカラーとブラックの2トーンでラインオフした車両は、総生産台数387台中でわずか38台しか存在しない極めて希少な仕様だ。このシャシーNo.18127には、歴史的資料としても価値の高い特別なストーリーが刻まれている。

当時、365 GT4 BBは米国の厳しい排ガス・安全基準をクリアできず、アメリカ市場では正規販売されなかった。しかし熱狂的なファンの情熱は止まらず、環境保護庁(EPA)の副長官補代理であったノーマン・D・シュトラー博士らが主導し、バンパー強化や排ガス対策を施して公道適合(Federalize)させる運動が巻き起こる。本個体は、専門業者Amerispecによってアメリカ国内へ正式に持ち込まれた並行輸入となる「実質的な米国第1号車」とされているのだ。
この情熱的なエピソードは、自動車雑誌『Car and Driver』1976年11月号の表紙を飾り、「Ferrari Berlinetta Boxer: Legal at Last!(フェラーリ・ベルリネッタ・ボクサー、ついに公道解禁!)」という大特集として世界に報じられた。そう、このオークションに出品された個体こそ、47年前にその雑誌の表紙に掲載された「実車そのもの」なのである。

ブラック(Nero)のデイトナスタイル・レザーインテリア(デイトナに由来する特徴的なストライプ意匠)を保ち、フェラーリ歴史研究の権威マルセル・マッシーニ氏による鑑定レポートや過去20年に及ぶ整備記録ファイルも完備されている。2024年春にはGrand Touring Enterprisesによる全般的な電装・冷却系のオーバーホールも完了している。
4.4Lの180度V12エンジンとミッションの二階建て構造にウェーバーキャブ4基で世界最速302km/h!
ミッドシップV12の原点となった365 GT4 BBのメカニズムは実にユニークだ。クランクシャフトの下にトランスミッションを配置する独自の二階建て構造を採用し、コンパクトなパワートレーンパッケージングを実現している。
搭載される4.4Lの180度V12エンジン(左右のシリンダーバンクが180度に開いた水平対向形状の12気筒エンジン)には、ウェーバー製40 IF のトリプルチョークキャブレター(ガソリンと空気を混ぜてエンジンに送り込む燃料供給装置)を4基ダウンドラフトにセットした。カウンタックLP400の最高速300km/hに対抗するべくカタログスペックは302km/hとしたが、当時のテストでは最高速度175mph(約281km/h)を記録し、それでも「我々がテストした中で最速のロードカー」と絶賛された。

数々の歴史的メディアを賑わせ、アメリカのスーパーカー史を動かした伝説の1台。歴史的背景、希少性、そしてミッドシップV12の原点としてのメカニズムが高次元で融合した1台である。
新車価格約1850万円からの相場推移とエスティメートに迫る約5184万円の落札結果
ちなみに、365 GT4 BBが日本で販売された当時の新車価格は、資料によって多少の差があるものの約1850万円とされている。1970年代半ばとしてはまさに桁違いの価格で、当時のスーパーカーブームにおいて少年たちの憧れとなったのも納得できる金額 だ。
現在の365 GT4 BBは、個体のコンディションや整備履歴、オリジナル度などによって価格差が大きい。近年の海外オークションではおおむね30万〜60万ドル前後での取引例が見られ、日本円にすると約4500万〜9000万円がひとつの目安となる。

2026年8月13日に開催された「The Quail Auction(Lot 154)」に先立ち、本個体に設定されていた事前のエスティメート(予想落札価格)は32万5000ドル〜37万5000ドル(日本円で約5200万〜6000万円/1ドル=160円換算)であった。そして最終的な落札価格は32万4000ドル、現在の為替レートで約5184万円という価格でハンマーが鳴らされた。エスティメート下限の32万5000ドルにほぼピタリと迫る約5184万円という着地は、第一世代BBの適正な市場評価と歴史的価値を象徴するにふさわしい結果と言えるだろう。
※為替レートは1ドル=160円(2026年8月29日時点)で換算
■注目ポイント
・総生産台数387台のうち、わずか38台しか存在しない純正イエロー「Giallo Fly」とブラックの2トーン
・米国の厳しい排ガス規制を突破した実質的な「米国第1号車」であり、1976年米誌『Car and Driver』表紙掲載の実車
・エスティメート32万5000〜37万5000ドルに対し、「The Quail Auction」にて約5184万円(32万4000ドル)で落札された最高峰の市場評価
■スペック・オークション情報一覧(箇条書き)
- 車両名称:1975年式 フェラーリ 365 GT4 BB(Chassis No. 18127)
- 出品オークション:The Quail Auction(2026年8月13日開催 / Lot 154)
- エスティメート:32万5000ドル〜37万5000ドル(約5200万〜6000万円 ※1ドル=160円換算)
- 落札価格:32万4000ドル(約5184万円 ※1ドル=160円換算)
- 当時新車価格:約1850万円(1970年代半ば日本国内)
- 現在相場:30万〜60万ドル前後(約4500万〜9000万円)
- 生産台数:365 GT4 BB全体で387台(うちGiallo Flyカラーは38台のみ)
- エンジン:4.4L 180度V型12気筒 DOHC(ウェーバー 40 IF 3C キャブレター×4)
- トランスミッション:5速マニュアルトランスミッション(二階建てレイアウト)
- ボディカラー:Giallo Fly(イエロー) / Nero(ブラック2トーン)
- インテリア:Nero(ブラックレザー)デイトナスタイルシート
- 特記事項:『Car and Driver』誌(1976年11月号)表紙掲載実車、Amerispec経由米国第一号輸入車、マルセル・マッシーニ鑑定レポート付属、2024年春電装・冷却系オーバーホール済み
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わずか38台の黄色のフェラーリ365GT4BB。米国1号車が約5184万円落札
