スパ・シルバーの美しいアルミボディ! 542psのV6ツインターボが宿す真価
1990年代のスーパーカーブームでは、異彩を放ちながら世界最速の称号を打ち立てた伝説のモデルがオークションへその姿を現した。2026年8月14日に開催された「ザ・クエイル・オークション」に出品された、1993年式ジャガー「XJ220」だ。波乱の歴史を乗り越えて現代に蘇った本車が持つエンジニアリングの真価と歴史的評価を紐解いていく。
30年近く一人のオーナーに愛蔵された走行2645kmの奇跡のコンディション
1980年代末のコンセプト発表から市販化に至るまで、数々のドラマを紡いできたXJ220だが、今回出品された個体(シャシーNo. SAJJEAEX8AX220682)は世界中のコレクターを驚嘆させる圧巻のヒストリーを備えている。1993年11月に製造された左ハンドル仕様の車体は、プロトタイプ発表時と同じアイコンカラーである「スパ・シルバー」のボディに、最高峰のスモークグレー・コノリーレザー(英国の老舗最高級革製品ブランドが手掛ける上質な本革)インテリアを組み合わせた気品あふれる仕上がりだ。

1997年に実質的なファーストオーナーのもとへ渡ってから2026年まで、実に30年近くにわたり一人のオーナーによって大切に秘蔵されてきたワンオーナー車である。オドメーターが示す走行距離は、奇跡的とも言える2645km(約1644マイル)にとどまる。
修復歴や事故歴は一切存在せず、エンジンやトランスミッション、ボディのすべてが出荷時のまま一致するマッチングナンバー(製造出荷時の主要部品シリアルナンバーが一致している状態)車だ。ジャガー・ヘリテージ・トラスト発行の認定書やパーツマニュアル、各種輸入書類も完璧に揃っており、まさに新車がそのまま現代へタイムワープしてきたかのようなコンディションを誇っている。

V6ツインターボと軽量シャシーが生み出した実測342km/hの走りと先進メカニズム
XJ220は、1988年のバーミンガム・モーターショーで衝撃的なデビューを果たした。車名の「220」は目標最高速度である220mph(約354km/h)に由来する。量産モデルではイタリアのナルド・サーキット(高速テスト用の円形巨大テストコース)において公道仕様の実測212.3mph(約342km/h)を記録(ちなみに当時欧州では必須装備ではなかった触媒コンバーターを外したテスト時の仕様では217.1mph=約349km/h !をマークした)、当時の市販車世界最速記録を打ち立てたのである。
市販化にあたり、コンセプト段階のV12エンジン+4WDから、グループCカーやグループBマシンで有名なMGメトロ6R4用などで実績を持つ3.5L V型6気筒ツインターボ+5速MT(後輪駆動)へと変更された。当時はスペック変更に伴う波乱も生じたが、542psを発揮する小型軽量なV6ツインターボエンジンこそが、シャープなハンドリングと圧巻の高速性能をもたらす原動力となったのだ。
このXJ220の生産車として組み立てのは、当時グループCカープロジェクトでジャガーと組んでいたTWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)だが、正式名称は当時「合弁会社ジャガースポーツ」となっている。彼らの技術によって、現実のスーパーカーXJ220として世に送り出されている。

全長4.9m超、全幅2m超という圧巻の存在感を放つボディには、アルミ製ボディシェルとアルミハニカムシャシー(蜂の巣構造の軽くて頑丈なアルミニウム構造体)を組み合わせた高度な軽量構造が採用されている。
新車時価格47万ポンドから30年を経て約1億1520万円で結実したオークション結果
ジャガーのモータースポーツ技術を結集して1992年から1994年までに組み立てられた総生産台数は、わずか277台にとどまる。1993年のデビュー当時、新車価格は47万ポンド(1993年当時の為替レートで約8000万円)という一般人には到底手の届かない雲の上の存在であった。
2026年8月14日に開催された「ザ・クエイル・オークション」カタログにおいて、本車には事前の予想落札価格であるエスティメートとして65万〜75万ドル(日本円換算で約1億400万〜1億2000万円)が設定されていた。

オークション当日は世界中のコレクターからの熱視線を集め、最終的に手槌が打たれた落札価格は72万ドル、日本円にして約1億1520万円(1ドル=160円換算)という高額で競り落とされた。新車時から30年以上の時を経て、当時の新車価格を大きく上回り、再び1億円の大台を超える市場相場へと完全復活を遂げたと言える。
余談だが、このXJ220をベースにして製作された「XJ220-C」で1993年のル・マン24時間レースに出場し、GTクラスで優勝を遂げるも、後日に失格処分(抗議文提出期限をすぎてから抗議文を提出したため、という手続き上のミス)となった。このル・マン出場車をベースとした公道走行可能なXJ220-Sと言うカーボンボディを持つ超軽量&ハイパワーマシン(車重1050kg/680bhp)が、やはりTWRにより製作されている。こちらは世界にわずか5〜6台と言われており、将来的にオークションで見かける日が来るのかもしれない。
※為替レートは1ドル=160円(2026年8月29日時点)で換算
■注目ポイント
- 奇跡のワンオーナー&走行2645km:30年近く一人のオーナーに秘蔵され、修復歴なし・マッチングナンバーを維持した極上コンディション。
- 市販車世界最速を記録した技術:3.5L V6ツインターボエンジン(542ps)とアルミハニカムシャシーにより実測342km/hを達成。
- 1億円オーバーの大台へ完全復活:1993年当時の新車価格約8000万円を大きく上回る72万ドル(約1億1520万円)で落札。
■車両情報
- モデル名:ジャガー XJ220(1993年式)
- シャシーNo.:SAJJEAEX8AX220682
- 生産期間/総生産台数:1992年〜1994年/277台
- ボディサイズ:全長4930mm × 全幅2009mm × 全高1150mm(※全長4.9m超、全幅2m超)
- ボディカラー:スパ・シルバー
- インテリア:スモークグレー・コノリーレザー
- エンジン:3.5L V型6気筒DOHCツインターボ
- 最高出力:542ps
- トランスミッション:5速MT
- 駆動方式:RWD(後輪駆動)
- 公称最高速度:実測212mph(約341km/h)
- 走行距離:2645km(約1644マイル)
- 新車時価格:47万ポンド(1993年当時約8000万円)
- オークション落札価格:72万ドル(約1億1520万円 ※1ドル=160円換算)
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走行2645kmのワンオーナー個体。ジャガーXJ220が約1億1520万円で落札
