5型はいつだ? 300系は2019年?? とハイエースのモデルチェンジに関するウワサが巷を駆け巡る中、「次期ハイエースが東京モーターショーでデビューする?!」という不確定情報をキャッチ。
色めき立って会場に着いた取材班。
そこにあったのは、トヨタ車体が発表した世界初公開となるコンセプトモデルだった!!
配達スタッフのことを第一に考えたひとり乗り設計の未来のデリバリーバン
LCV D-CARGO
ベースカー | LCV D-CARGO CONCEPT |
---|---|
全長×全幅×全高(㎜) | 4700×1735×1885 |
室内長[助手席側]×室内幅×室内高(㎜) | 3500×1550×1345 |
協力 | トヨタ車体 |
近い将来の“はたらくクルマ”が東京モーターショーで世界初披露
箱車好きにはたまらない新コンセプトのマルチバンが、東京モータショーのトヨタ車体ブースでお披露目された。
1BOXカーのコンセプトモデルと聞くと「次期ハイエースの方向性?」な~んて気の早い読者もいるが、このクルマはあくまでもトヨタ車体の次世代バンのコンセプトモデル。
しかし、その装備や設計思想のそこかしこに、新しい箱車に込められるであろう要素が見えていたぞ。
トヨタ車体が発表したのは「LCV(ライト・コマーシャル・ビークル)コンセプト」と呼ばれる新発想のマルチバンだ。
貨物利用を想定した「ディー・カーゴ コンセプト」、ワゴン的な利用を想定した「ビジネス・ラウンジ コンセプト」、さらには、車いすアスリートの利用を考えた「アスレチック・ツアラーコンセプト」の3種類のコンセプトモデルを世界初公開した。
東京モーターショー会場で、LCVのデザインを手がけたトヨタ車体の澁谷勝利サンに、次世代の商用バンに込めたデザインコンセプトをじっくりうかがった。
内外装のコンセプトをトータルで提案した「ディー・カーゴ コンセプト」は、プレスラインが少なくツルリとした外装デザインを持ち、従来の商用車にはない新しいタイプの1BOXバンを感じさせるフォルム。
ミニバンを思わせるようなハナの出たボディも特徴的。
いずれも「商用車っぽさを出さず、女性にも受け入れやすいデザイン」としたのが狙い。
コンセプトモデルを作る上でベースとなっているのはノア/ヴォクシーのプラットフォーム。
そのため全長は4700㎜、全幅1735㎜と、200系ハイエースのナローボディよりもちょっぴり大きめの形状となっている。
ボディを見て最初に感じるのはコクピット回りとカーゴスペースのイメージの違いだろう。
(トヨタ車体 デザイン部デザイン企画開発室 グループ長 澁谷勝利 氏)
「カプセル状のコクピットはホスピタリティエリア、対して荷室はスクエアな形状としています。
これまでのバンは荷室が中心でしたが、LCVは人に優しいクルマを目指しています。
そんな思いがこもったデザインなのです」。
サイドの開口部にも注目。従来のスライドドアに加えて、助手席ドアも前方にスライドする設計とした。
スライドレールは下部支持のみのスタイリッシュなデザイン。
さらにリアゲートには上下分割式ハッチを採用し、ハッチを展開した場合でも後方への出っ張りは330㎜に抑え、狭い場所での利用にも便利だ。
車内に入ると助手席レスのシートアレンジが特徴的。
カプセル状に運転席を包み込むシェルコクピットも印象的なデザインだ。
また運転席の左脇にまで広がる広大な荷室空間は、荷室長3500㎜を確保し、長尺物の積載性も想定。
さらにラゲッジにはスライド可動式のコンテナを備えるなど、機能的でオシャレな内装だ。
小型デリバリーバンとしての使いやすさを追求しつつドライバーの快適性も両立させた「ディー・カーゴ コンセプト」。
新しい時代の1BOXのあるべき方向性を感じさせてくれる装備&デザインが存分に込められたコンセプトカーだ。
薄型ヘッドライトは従来の商用バンではほとんど見られないデザイン。
スリット状のグリルなど、ミニバンを強く感じさせるデザインで次世代バンをイメージさせる。
足元にはトルネード形状のホイールキャップを備え、商用車っぽさを払拭する。
ボディサイドに対する存在感も兼ね備え、アクセントとなっている。
リアゲートの一部にはモニターが埋め込まれている。
配達中のドライバーが荷室にアクセする際に集配情報などを確認することができ、駐車中のサインボードにもなる。
LED テールランプの形状はルーフまで回り込んでいる。
スライドドアは下部支持ヒンジのみで開閉が可能なため、サイドボディ面にはスライドレールが存在しない!!
最初からスムージングボディというワケ。
前後に開くスライドドアを開ければ超巨大カーゴスペースが出現!!
コクピットには配達ルートなどが荷物を入れるコンテナはスライド可動式タブレットにディスプレイ♪
キューブ形状のコクピットはドライバーの快適性を優先した作り。
ステアリングセンターにはタブレットを設置するスペースを設けている。
刻々と変わる配達ルートなどをタブレットを通じて指示してくれるので、効率よくデリバリーを実施できるのだ。
荷物を入れるコンテナはスライド可動式
荷室で印象的な装備がこのコンテナ。
フラットなフロアには縦横にスライドレールを備え、設置されたコンテナを自由に移動できる。
重い荷物も軽く荷室内を移動できるのが魅力。奥の荷物の取り出しや入れ替えなどにも便利。
リアゲート面にまでレールがつながっているのが◎。
スライドレールはフロア側に設置
スライドレールはなんとフロア側のみに設置してスライドドアを片持ち支持する。
これにより開口部のルーフ回りをスッキリさせている。これでいて低床を実現しているのは驚き!
ルーフにはアタッチメントを取り付けることで、さまざまな荷室装備を取り付けることができる拡張性を持たせている。
シートバックにも荷物の管理情報がディスプレイされる。
コクピット上部に見える円弧状のスリットはエアコンの吹き出し口だ。
武骨なルーバーなどではなく、コクピット全体を包み込むようなデザインがシンプルでカッコいい。
荷室のウォールは滑らかなアール形状で構成されている。
これはギリギリまで荷室の容積を広げる工夫。アタッチメントの取り付けスペースを稼ぎ出すためでもある。
出張に向かうビジネスマンが仕事をする移動オフィス
LCV BUSINESS LOUNGE
ベースカー | LCV ビジネス・ラウンジ コンセプト |
---|---|
全長×全幅×全高(㎜) | 4700×1735×2120 |
室内長[助手席側]×室内幅×室内高(㎜) | 3500×1550×1580 |
ビジネスマンの快適な移動を想定した内装コンセプトが「ビジネス・ラウンジ コンセプト」だ。
多忙なビジネスマンが移動中にゆったりとリラックスできることをネライとして作られたモデルで、全高2120㎜のハイルーフボディを想定している。
リアキャビンには2 座のキャプテンシートのみを装備し、広々としたスペースを作り上げた。
シートは人間工学的にリラックスできる姿勢を追求したデザインを採用。
装備面では室内にスーツケースなどを収納できるスライド棚を設置。
さらに運転席背面のバルクには大型モニターを設置して、移動中でもエンターテイメント情報やテレビ会議などが可能な環境を整えた。
1 分1 秒たりともムダにできないビジネスマン向けのモデルだ。
完全オリジナル設計のコンフォータブルシート
搭載されている2座のコンフォータブルシートは、リラックスモードに設定すると背中とおしりに均等に圧が掛かるアレンジに自動で設定。
人間工学的にもっともリラックスできる姿勢になるのだ。
目の前の大型モニターには、さまざまな情報が映し出される。
めいっぱいキャビン面積を確保するため、後方のトビラは直でリアゲートにつながる構造。
シーリングにはレールを装備し、ハンガーをかけられるなど、ビジネス利用を想定した装備が満載。
運転席の左脇にはスライド展開が可能なサイドアクセスラゲージを装備。
スーツケースなどを車内に置くことで、車内での着替えや必要なアイテムの取り出しを可能とした。
コクピットは他のLCV と同様にキューブ形状として、ドライバーにも優しい空間作りを提供する。
コクピットとリア空間を隔離するのもビジネス専用仕様ならではの設計だ。
LCV ATHLETIC TOURER
ベースカー | LCV アスレチック・ツアラー コンセプト |
---|---|
全長×全幅×全高(㎜) | 4700×1735×2120 |
室内長[助手席側]×室内幅×室内高(㎜) | 3500×1550×1580 |
車いすに乗るアスリートがひとりで運転できるトランスポーター
車いすアスリートがひとりで競技に出かけることを想定した内装コンセプトが「アスレチック・ツアラー コンセプト」。
競技用の車いすを分解することなく積載できるのがポイントだ。
さらに右サイドにはツールボックスを設置。
脱着式なので競技会場に行ってからボックスごと持ち出して車外で競技ギアの整備を行うことも可能とした。
さらにこのクルマの注目点は、エアサスを装備して車高を200㎜上下できる点。
通常はフロア高500㎜だが300㎜まで下げることができ、車いすの乗降もスムーズ。
また、スライド開口部からはパワースライドでせり出してくるスロープも装備。
縁石の高さに合わせたスロープ+エアサスを活用すれば、車内へのアクセスが実に簡単というワケだ。
キューブ状に包み込まれているコクピット。
開放的で快適なコクピットを作るのもLCV の目指したコンセプトのひとつ。
ステアリングは前後に、シートは上下に動くため、車いすと運転席間の移乗もラクだ。当然、ペダルの誤動作を防ぐバーも設置している。
車内の赤い部分は車内を移動する際にグリップとして使える個所だ。
足の不自由なアスリートがコクピットから荷室などに車内移動することをサポートする役目を担っている。
フロアの赤い部分が起き上がることで車いすのタイヤをホールドするマウントに早変わりする装備も搭載。
普段はフラットなフロアなので、ジャマにならない仕様。ワンポイントアクセント的で実にオシャレだ。
芸文社 / カスタムカーvol.475
PHOTO渡部祥勝/TEXT土田康弘
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元の投稿: 車 カスタムカー, 改造車 専門WEBマガジン | tuners(チューナーズ)
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