江戸時代に「大奥のお座敷犬」として寵愛された狆(ちん)の里を訪ねて
神奈川県横浜市にある「Leo Star Kennel(レオスター犬舎)」。ここは日本でもっとも古い歴史を持つ狆を繁殖するプロフェッショナルな犬舎です。江戸時代に発令された「生類憐みの令」で知られる江戸幕府の第5代将軍、徳川綱吉の時代に江戸城で飼われていたという記録があります。狆は貴族や大名にかわいがられてきた高貴な犬種です。当時は「犬は外で飼育するもの」でしたが、狆は体が小さく、体臭や抜け毛が少ないことから「お座敷で飼育するもの」と室内で飼われた模範的な家庭犬なのです。
犬たちが暮らすのは、石川ブリーダーの自宅の3つの洋室です。多くは家のなかで過ごしますが、奥の部屋からは庭に直接出られるようになっているので、天気のよい日は庭でフリー運動をしています。狆は基本的に運動量の少ない犬種なので、室内で遊ばせるだけでも十分と言われていますが、気分転換や社会性を養うためには外出も大切で、バランスよく育てていきます。狆は当初から人とともに生活をしてきた犬種なので、人と一緒にいることを好み、飼い主の様子をつねに観察して賢くふるまいます。日本の歴史のなかで独自の改良がなされ、温和で物静かな飼いやすい犬種です。日本人の生活や気質に合った犬種といえるでしょう。