近年はペットの生活環境も格段によくなり、犬も15歳を超えるご長寿も珍しくなくなりました。そこには動物医療やペットフードの進歩、そして飼い主による予防医療の実践も背景にあります。それに伴ってウイルス性疾患の発生率も低下しているため、「ワクチン接種は必要ないのでは?」という予防の必要性を疑問視する情報が出ることがあります。しかし、ワクチン接種をしなかったためにウイルス性疾患に感染して命を落とす犬も確実に存在しています。今回は「ワクチン接種も欠かさずに」という、その理由についてのお話です。
ワクチンとは?
犬が持つ「病原体に対する抵抗力(免疫力)」のしくみを利用して、感染病に対する免疫をあらかじめつくっておく製剤のことをワクチンといいます。病原体や細菌毒系の毒性を弱めたものをあらかじめ摂取し、その抗体をつくり、免疫反応の記憶を残します。そうすることで、本当の病原体が侵入してきた時に「この病原体は防がないといけない」という防御反応が働き、発症予防や症状軽減が期待できるというものです。