近年、世界的に猫の飼育頭数が増加している現象が注目されています。この傾向は米国や欧州、日本をはじめとするさまざまな地域で確認されており、背景には複数の要因が絡み合っています。一方で、猫の飼育が増えることによる課題も浮き彫りになっています。

まず、米国における猫の飼育状況を見てみましょう。米国獣医師会(AVMA)のリリースによると2024年時点で米国の猫の飼育頭数は約7,380万頭と推定されています。一方、犬の飼育頭数は約8,970万頭で、依然として犬が多いものの、近年の増加率では猫が上回っています。
Packaged Factsのデータによると、猫を飼っている世帯は2021年の3,020万世帯から2023年に3,210万世帯に増加し、犬を飼っている世帯は5,330万世帯から4,990万世帯に減少しています。この傾向は新たにペットを迎える世帯にも見られ、子猫を飼う世帯は2014年の310万世帯から2023年に390万世帯に増加する一方、子犬を飼う世帯は560万世帯から440万世帯に減少しています。
欧州に目を向けると、FEDIAF(欧州ペットフード産業連盟)のデータが示すように、2022年時点で欧州全体の猫の飼育頭数は約1億3,000万頭に達しており、犬の飼育頭数(約1億600万頭)を上回っています。特にドイツやフランス、ロシアなどで猫の飼育が顕著に増えています。
日本では、ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」によると、2023年時点で猫の飼育頭数は約907万頭、犬は約684万頭と、猫が犬を上回る状況が続いています。この10年間で犬の飼育頭数が減少している一方で、猫は微増傾向を維持しています。
猫の飼育頭数が増加している理由は、経済的や社会的な要因とも深く関連しています。まず、核家族化や単身世帯の増加が挙げられます。これにより、ペットを家族の一員として迎え入れ、精神的なつながりを求める人が増えています。また、リモートワークの普及によって在宅時間が増えたことも、ペットを飼う動機を後押ししています。特に猫は、長時間一緒にいてもストレスを感じにくく、適度な距離感を保ちながら生活できる点で人気があります。
しかし、猫の飼育頭数の増加は同時にいくつかの課題も伴います。それは飼育放棄です。経済的な理由や生活環境の変化などにより、飼い主が猫の飼育を継続することが困難になり、やむを得ず猫を手放してしまうケースが増加しています。コロナ禍の収束とともに放棄されたケースが記憶に新しいでしょう。
また、多頭飼育崩壊の問題も増えています。飼育放棄されたり、適切な管理(避妊去勢)が行われていない猫が、大量に飼育される状態を指します。多頭飼育崩壊は、動物虐待や近隣住民とのトラブル、地域社会への悪影響など、深刻な問題を引き起こす可能性があります。
さらに、むやみな餌やりも大きな問題でもあります。野良猫や地域猫に餌を与える行為は、一見すると善意の行為のように思えますが、不妊・去勢手術を行わずに行われると、猫の数が急増し、地域猫問題を悪化させます。これは、地域社会でトラブルが発生したり、猫の健康問題が深刻化する恐れがあります。
これらの問題は、猫の飼育頭数の増加という社会現象の裏側にある、複雑な課題であるといえるでしょう。
猫との暮らしは、癒しや喜びをもたらしますが、同時に大きな責任が伴います。動物の一生を預かるということは、適切な環境で最後まで面倒を見ることを意味します。そして、地域社会の一員として、野良猫や地域猫問題にも目を向け、猫と人がともに暮らせる社会を考えることも、私たちに与えられた大切な機会と言えるでしょう。
元の投稿: 犬や猫とハッピーに暮らすための情報と最新ペットニュース - ペトハピ [Pet×Happy]
世界中で猫と暮らす人が増えている!? その恩恵と課題とは……
