クリスマスが終わり、街のイルミネーションが片付けられると、日本では息つく暇もなく年末年始の慌ただしさが始まります。大掃除に正月飾り、帰省の準備やおせち料理の手配など、やるべきことに追われている人も多いのではないでしょうか。あるいは、久しぶりの親戚付き合いによる気疲れや、人混みの中での移動によるストレス、さらには「寝正月」による運動不足を心配しているかもしれません。
そんな年末年始特有のストレスから私たちの心身を救い、そっと整えてくれる存在が身近にいます。それが、愛犬や愛猫といったパートナーたちです。今回は最新の科学的知見をもとに、なぜ年末年始こそペットと過ごす時間を大切にすべきなのか、その理由をひも解いていきます。

まずは、ペットとの触れ合いが私たちの脳や身体に直接働きかける、生理学的なメカニズムに注目です。国際的なオープンアクセスジャーナル『Healthcare』に掲載された研究論文』をはじめ、獣医学や心理学の分野では、人と動物との相互作用が、双方のホルモンバランスに変化をもたらすことが繰り返し報告されています。
犬や猫と触れ合うことで、ストレスホルモンとして知られる「コルチゾール」の分泌が低下し、愛情や信頼、絆に関わるホルモン「オキシトシン」の分泌が促されることが具体的に確認されています。多くの研究は犬を主な対象としていますが、猫においても同様の生理反応が示唆されており、動物との穏やかな接触そのものが、人のストレス緩和に寄与することは、獣医学的な一般論として広く共有されています。
犬と見つめ合うことで安心感が得られるのと同様に、猫を膝に乗せて撫で、その体温や呼吸を感じる時間も、医学的に理にかなった「治療的介入」と捉えることができます。特に猫が喉を鳴らす「ゴロゴロ音」は、約20〜140ヘルツの周波数帯にあり、人の副交感神経を優位にし、リラックス状態へ導く可能性があることが知られています。
年末年始は、一年の疲れがどっと出る時期でもあります。実家で久しぶりにペットを撫でる時間や、自宅のソファで愛犬や愛猫と寄り添って過ごすひとときは、単なる休息ではなく、慌ただしい一年の疲れを癒やす積極的なメンタルケアといえるでしょう。
さらに、社会心理学の視点から見ると、ペットには「社会的潤滑油(ソーシャル・ルブリカント)」としての役割があることも、学術的に示されています。普段離れて暮らす家族や親戚が集まる年末年始は貴重な機会ですが、久々の再会には独特の緊張感や、会話のぎこちなさが生まれることも少なくありません。
そんな場面でも、一匹の犬や猫がいるだけで、場の空気がふっと和らぐ経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。動物の存在は、人と人との距離を縮め、対人ストレスを緩和する効果を持つとされています。
愛犬のかわいらしい仕草や、普段は気まぐれな猫がふと姿を見せた瞬間の喜びを共有することで、自然と笑顔が生まれ、世代を超えた会話が広がります。彼らは、家族間のコミュニケーションを円滑にし、その時間をポジティブな記憶として定着させる、優れたファシリテーターなのです。
年末年始の健康管理という観点からも、ペットの存在は見逃せません。寒さが厳しいこの時期、私たちはどうしても暖かい室内で過ごす時間が長くなり、運動不足に陥りがちです。特に「寝正月」という言葉があるように、活動量が極端に低下することで、体重増加や体内時計の乱れ、さらには日光不足によるセロトニン分泌の低下からくる気分の落ち込み「ウィンターブルー(冬季うつ)」につながるリスクを高めます。
しかし、犬と暮らす飼い主には、天候に関わらず「散歩」という日課が存在します。愛犬の「外に行きたい」という要求に応えることは、飼い主自身の健康を守ることにも直結します。散歩の効果は、単なるカロリー消費にとどまりません。屋外に出て冬の冷たく澄んだ空気に触れ、日光を浴びることは、自律神経を整え、概日リズム(体内時計)を正常に保つために不可欠です。
さらに、愛犬とともに歩くことは、ひとりでウォーキングをするよりも高い精神的な満足感を得られることがわかっています。犬が道端のニオイを嗅いだり、ほかの犬と挨拶したりする様子を観察することで、飼い主は「今、ここ」に集中するマインドフルネスの状態に近づき、反芻思考(ネガティブなことを繰り返し考えること)から解放される効果も期待できます。
一方、散歩を必要としない猫の飼い主にとっても、猫の存在は生活のリズムを保つアンカーになります。猫は非常に正確な体内時計を持ち、休日であっても決まった時間に食事や遊びを求めます。その「規則正しさ」に引き上げられる形で、飼い主も布団から出て身体を動かすことになります。
こたつから出るのが億劫な日でも、愛犬や愛猫の期待に満ちた瞳に背中を押されて行動し、その際に得られるマインドフルな感覚は、反芻思考から距離を置く助けにもなるでしょう。ペットの世話という日常的な責任が、結果として飼い主自身の心身の健康を守っているのです。
ただし、こうした恩恵を受けるためには、私たち人間側が犬や猫の気持ちと、犬種・猫種ごとの特性を尊重することが大前提となります。年末年始の来客や環境の変化は、縄張り意識の強い猫や、繊細な犬にとって大きなストレスとなることもあります。人が集まる場では、誰にも邪魔されずに休める「避難場所(クレートや静かな部屋)」を確保し、無理に人前に出さない配慮が必要です。特に猫が隠れている場合は、そっとしておくことが最大の思いやりです。彼らがリラックスしてこそ、私たちもその癒やしを受け取ることができます。尻尾や耳の動きなど、微細なサインに目を向ける姿勢も、この時期の大切な責務といえるでしょう。
科学的な視点で捉え直すと、年末年始に愛犬や愛猫と過ごす時間は、「かわいいから一緒にいる」という感情を超えた価値を持っています。彼らは私たちの体内でストレスに関わるホルモンを調整し、人と人との関係を和らげ、生活リズムを整えてくれる、かけがえのないウェルビーイングのパートナーです。
おせち料理を囲むひとときや、膝の上に伝わる温もりを感じながら、ふと彼らを見つめてみてください。無意識のうちに私たちへ注がれている「癒やしの力」に思いを巡らせ、感謝の気持ちを伝えてはいかがでしょうか。その気づきは、ペットとの絆をより深く、確かなものにし、新しい一年を健やかに迎えるための静かな支えとなるはずです。
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年末年始こそペットと過ごすべき理由とは? 犬と猫がもたらす「オキシトシン効果」と癒やし
