冬は外出も減る傾向にあり、部屋で過ごす時間が増える季節です。汚れないと思われますが、それなりに汚れやニオイが気になることもあります。
愛犬がお風呂が大好きであっても、お風呂嫌いであっても、定期的にお風呂に入れることはペットのお世話の重要な要素です。今回は犬をお風呂に入れる際の秘訣を紹介します。
冬でも犬を洗うべき?
答えはイエスです。犬の皮膚や被毛につく自然なニオイ、舐めることによる唾液のニオイや被毛の変色、ほかの犬からの汚れや唾液が蓄積し、ニオイが発生したり被毛がベタついたりすることなど、さまざまな理由で犬はお風呂に入る必要があります。
お風呂に入れる頻度
犬の皮膚は、新陳代謝によって約30日ごとにまったく新しい細胞に生まれ変わります。新しい細胞が生成されると、古い細胞は表面から剥がれていきます。このプロセスを皮膚のターンオーバーといいます。
ターンオーバーによって、皮膚の表層には古い角質細胞が生成され、それがフケなどをつくるのです。基本的には月1回程度の入浴が理想的ですが、犬種や遊び方、また季節によっては回数が増えることも考えられます。
入浴の準備
はじめに決めることは、愛犬を洗う場所です。小型犬なら洗面台で入浴させることができるかもしれませんが、中型犬以上では広いスペースが必要になります。通常は、家庭の浴室で浴槽を利用するのがよいでしょう。愛犬が安全に出入りできる場所を選んでください。
次に、お湯を出す前にすべての製品とツールが手元にあることを確認してください。必要なものはすべて手の届く場所にあると作業がスムーズになります。
シャンプー
コンディショナー
タオル
バスマット(滑り止め)
シャンプーとコンディショナー
愛犬をお風呂に入れるには、まず適切な製品を選びたいものです。シャンプーは、必ず犬専用の製品を使うようにしましょう。犬の皮膚の㏗は人間とは異なります。人間の皮膚は弱酸性ですが、犬の皮膚は弱アルカリ性です。人間用のシャンプーを使うと、皮膚に刺激を与える可能性があります。
どの製品を選択すればよいかわからない場合は、通っているサロンで使用しているシャンプーを聞くのもよいでしょう。大切なのは、刺激の少ないシャンプーであることです。
薬用を謳ったシャンプーが多く発売されていますが、使用には注意が必要です。薬用が必ずしもすべての犬によいということではなく、かえって皮膚や被毛の状態を悪化させてしまう危険性もあります。
もし、愛犬が特定の問題(乾燥肌や皮膚のかゆみなど)を抱えている場合は、その症状を改善するために設計されたシャンプーが理想的です。
シャンプー後はコンディショナーを使うのが次の重要なステップです。シャンプーをすると、皮膚や被毛から天然の油分を取り除いてしまうからです。コンディショナーは、被毛だけでなく皮膚にも水分を補給してくれます。
正しい入浴法
適切な場所を選択し、適切な製品を用意したらいよいよ入浴の始まりです。さっそくプロがオススメする入浴法をご紹介します。
ブラッシング
ブラシやコームで、あらかじめもつれをすべて取り除いておきましょう。もつれを濡らすと、より固く、より大きくなり、取り除くのが難しくなります。
犬を浴室に入れる
愛犬が気乗りしないようなら、なだめたりおやつを与えるとよいでしょう。まずは、入浴プロセスを前向きにスタートさせることが重要です。
シャンプーを希釈する
シャンプーを水で薄めます。洗面器などにシャンプーを入れてお湯を足します。シャンプーは濃縮されていることが多いので、薄めることで、泡立ちがよくなり、広がりもよくなるなど使いやすくなります。
犬を濡らす
ぬるま湯で犬の体を十分に濡らします。手で温度を確認しながら熱すぎないようにしましょう。
シャンプーは2回
シャンプーは2回行います。1回目はシャンプーが汚れと結合し、汚れを落とすのに有効です。2回目のシャンプーは、皮膚をしっかり洗い、被毛に残った汚れや油分を落とします。その際、スポンジを使うと体全体にシャンプーを行き渡らせることができます。
足の裏、脇の下、お腹など、洗い残しのないように注意してください。何よりも、シャンプーを楽しい体験にすることが大切です。手を使って体全体をマッサージしながら洗うのです。温かいお湯を使うことで血行を促進し、リラックス効果も得られます。
コンディショナーで整える
コンディショナーを使用することで、皮膚や被毛の㏗を整え、水分を補給します。 コンディショナーは2、3分程度そのままおいたあと、洗い流してください。
十分なすすぎ
すすぎは、被毛に残った成分がなくなるまでよく洗い流してください。シャンプーなどの洗浄成分などをしっかりと落とさいと、皮膚に残って炎症を起こすこともあります。
顔の洗い方
犬の顔(頭)を洗うことは、犬の入浴プロセスでもっとも注意が必要です。目、鼻、耳などの敏感な部分にシャンプーや水がかかるのは望ましくありません。この部分の洗は入浴の最後にまわすのがよく、その際にはハンドタオルを使うとよいでしょう。
ハンドタオルをシャンプーを薄めたお湯に浸し、犬の頭と顔を優しく丁寧に拭き洗いします。十分に汚れを落としたら、別の清潔なハンドタオルを水に浸してすすぎながら拭き取ります。
目に優しいように設計されたシャンプーを使用している場合でも、目の周りはできるだけ避ける必要があります。シャンプーが犬の目に入ってしまった場合は、洗眼剤を用意しておきましょう。愛犬の目やにが気になる場合は、濡らしたコットンなどでやさしく取り除くことをオススメします。
水嫌いの犬をお風呂に入れる方法
ゴールデン・レトリーバーなど水が大好きな犬種もいますが、多くの犬は蛇口をひねる音やシャワーを出しただけで震えてしまいます。これに対処するには、入浴中にポジティブな刺激をたくさん与えてみましょう。褒めたり、おやつをあげたりしてバスタイムをポジティブな体験にすることが重要です。
お風呂に入れている間、パートナーに犬を抱っこしてもらうのも有効です。そして、できれば子犬のころからお風呂に入れ、お風呂の時間に慣れさせましょう。
入浴後にすること
まず、タオルドライをします。その後、犬専用のドライヤーか、人間用のドライヤーを中温か低温で使用します。乾かしながらブラッシングをすることもお忘れなく。室内が寒くなく、犬が震えていないようなら、自然乾燥させることもできます。
犬を自然乾燥させている場合は、「10分か15分おきに、乾かしている間にブラシをかけてあげると、毛玉ができにくくなります。
バスタイムのご褒美は、見た目もニオイも爽やかな愛犬。そして、愛犬の健康と美しさのためによいことをしたという達成感を得ることができます。
まとめ
昨今は、いろいろなモノの価格が高騰しています。ペット用品やフード、ペットサロンも同様です。そうなると、コスト削減のために、自宅でトリミングされる人も多いのではないでしょうか。
しかし、この時期は気温が低いので、シャンプーは犬にとっても飼い主にとっても敬遠しがちになることでしょう。
寒さのあまり散歩や屋外での遊び時間が短くなっていても、ニオイや汚れはそれなりに蓄積します。人間同様に犬も汚れを落としてもらったほうが清潔で気持ちがよいのです。
愛犬の健康と美しさのために、ぜひ冬でも定期的にお風呂に入れてあげましょう。
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【犬飼いTIPS】プロのトリマーが教える、この冬の愛犬の正しい入浴法