犬にも臍(へそ)の構造がありますが、外見上は人間とは異なり明確なおへそがあるわけではありません。そして、それが出っぱっているか、凹んでいるかは個体差があります。
もし、子犬に出べそが見られた場合、それは問題のサインかもしれません。愛犬の体の正常な状態を知ることは、潜在的な問題を早期に発見するのに役立ちます。そこで今回は、犬のおへそについて考えます。
犬にもおへそはある?
犬にも(猫も)おへそがあります。これは、人間にもおへそがあるのと同じ理由で、ほかの多くの哺乳類にも見られます。これは、あなたのペットがかつて母犬とへその緒がつながっていた痕跡なのです。
へその緒は、胎児と母体を結ぶ管状の組織で、胎児に栄養や酸素を供給し、廃棄物を排出します。出産時に切断され、赤ちゃんの臍になります。
へその緒は、胎児と母体を結ぶ細長い管状の組織です。これは、胎児が母犬の体内で成長する際に栄養や酸素を受け取り、逆に胎児が生成する廃棄物を排出する機能があります。
出産時にへその緒は母犬によって切断され、母体から子犬が分離します。へその緒の端は子犬に残りますが、数日後には、乾いて外れ落ちます。その痕跡がおへそになります。
犬のおへそはどこにある?
私たちと同じように、犬のおへそはお腹の真ん中、胸郭を過ぎて骨盤の手前にあます。皮膚の柔軟性や被毛の生え具合やによって若干前後することはあります。
犬のおへそは一般的に丸くなく、穴のようにも見えません。その代わり、小さくて平らな傷跡のように見え、楕円形をしていることが多いです。
愛犬の毛がすでに生えそろっている場合、おへそを見つけるのは難しいでしょう。指先で、お腹の真ん中あたりをそっと探ってみてください。小さな硬い皮膚(瘢痕組織)があれば、それがおへそです。
犬にも出べそはある?
犬のおへそに関しては、出っぱっている(出べそ)でも、凹んでいてもアウトです。厚みがある場合もありますが、人間のような出べそは通常ではありません。
そのようなこぶやしこりやは、疾患の徴候である可能性があります。その場合、以下の3つの選択肢が考えられます。
ヘルニア
ヘルニアは、内部の組織や臓器が体の筋肉壁や組織の弱い部分から突出する状態を指します。特におへそ周辺は筋肉が弱い部分であり、臍ヘルニアになることがあります。これによりおへそ周辺に膨らみが生じます。いわゆる「でべそ」のことです。
臍ヘルニアは、出生後に腹壁が完全に閉じていない子犬に発生します。多くの場合、これは何の問題もなく、腹壁はやがて自然に閉じます。しかし、場合によっては開口部が大きく、腸が脱出しまうこともあります。
この場合は腹壁を閉じる手術が必要です。放っておくと、飛び出した腸が引っ掛かったり、ねじれたりして、命にかかわることもあります。
膿瘍(のうよう)
膿瘍は、組織のなかに膿がたまった状態のことで、犬によく見られる症状です。皮膚の下に赤く腫れたしこりができます。触ると温かく、痛みを伴い、発熱やだるさを伴うことがあります。
多くの場合、皮膚の裂傷(引っかき傷、噛み傷など)によって引き起こされます。傷口を治す際に白血球が細菌と戦い、その残骸が膿となって皮膚組織の中に貯留されてしまうのです。
おへその周辺は、へその緒が外れてから傷が治るまでの間に膿瘍ができやすい部分です。へその緒が乾燥している間に細菌が侵入するためです。
膿瘍は切開排膿し、清潔に保つ必要があります。また、感染を予防するために、抗菌薬を処方することもあります。
腫瘍
腫瘍とは、組織や細胞が生体内の制御に反して過剰に増殖することで、高齢のペットに多く見られます。
腫瘍には、脂肪腫のように良性(非がん性)の場合もあれば、肥満細胞腫のような悪性(がん性)の場合もあります。
腫瘍の診断には、「穿刺吸引細胞診」が行われます。採血の針より細い注射針でしこりから細胞を取り出し、顕微鏡で観察することにより、がんかどうかなど細胞の性質を詳しく調べる検査です。
検査の結果、腫瘍の種類と重症度によって治療の方針が示されることになります。
まとめ
犬のおへその周りに出べそや腫れ、しこりなどが見られる場合、これは潜在的な健康問題のサインかもしれません。犬の年齢に関係なく、このような症状を見つけたら、放置せずに獣医師の診察を受けましょう。
早期の診断と適切な治療は、愛犬の健康を保つために不可欠です。
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【犬飼いTIPS】犬にもおへそはある? 出べそと凹んだおへそなど形状でわかること