RUF SCR 2018がオークションに出品されるのは初めて
2024年7月22~24日にRMサザビーズがドイツ・バイエルンアルプスで開催したオークションにおいて、RUF「SCR 2018」が出品されました。70台限定で生産された中で出品車は2番目に製作された2022年式の個体です。1台目はプロトタイプとして製作され、ショーに出品されたモデルであることから、実質的にはこの個体が最初のプロダクションモデルでした。気になる車両の詳細とオークション結果についてお伝えします。
964型911を意識したボディデザイン
ドイツのRUFオートモービルズ社といえば、ポルシェのホワイトボディをベースに、独自の高性能モデルを製作する自動車メーカーとして、その名を良く知られるところ。彼らがこれまで製作してきたモデルは、一時は世界最速車の座に君臨した「CTR」を始め、ポルシェのファンにもその存在は有名だ。だが現在のRUFは、ポルシェのホワイトボディをベースにしていた時代から、さらに技術的に大きな進化を遂げている。
その大きな転機となった1台が、ここで紹介する「SCR」だ。SCR(正確にはSCR 3.2)は、1978年から1981年まで、当時のポルシェ「911SC」をベースに製作された、いわばRUFの歴史における初期の作としても有名だが、ここで紹介するのは2018年のジュネーブ・ショーでデビューを飾った「SCR 2018」である。
現在ではどこかノスタルジックな雰囲気も感じるボディデザインは、964型「911」を意識したもので、素材は軽量なカーボンファイバーによるもの。964型911の雰囲気が醸し出されているとはいえ、じっさいにはデザインが完全に共通するパネルはひとつとして存在しない。
カーボンモノコックにカーボンボディを組み合わせる
さらに驚かされるのは、SCR 2018の基本構造体だ。それはボディと同様にRUFが自社開発したカーボンファイバーモノコック。軽量で高剛性なこのモノコックは、SCR 2018の走りを大いに魅力的なものとしてくれる。ちなみにカーボンモノコックとカーボンボディの組み合わせによって、SCR 2018のウエイトは1250kgと非常に軽量な数字に抑えられ、それが運動性能の向上に大きく貢献しているのは言うまでもない。
リアに搭載されるエンジンは、4Lの排気量が設定された水平対向6気筒。ブロックは997型GT3のものが使用されている。初代CTRがそうであったように、エンジンは自然吸気型となるが、その最高出力は510ps、最大トルクは471Nmという魅力的な数字。組み合わされるトランスミッションはZF製の6速MTで、駆動方式もRWDが唯一の設定となる。