猫は、悲しみや喪失感、心の痛みなどの感情が原因で涙を流すことはありません。しかし、声で表現する=鳴く(泣く)ということを身をもって知っています。
おやつをもらえなかったりしても涙を流すことはないでしょうが、寂しいときや家族の一員を喪ったときには鳴くことで感情を表現することがあります。
今回は、猫が鳴く理由と、猫の気持ちを落ち着かせる方法についてのお話です。
猫は悲みや苦痛で涙を流す?
猫は悲しいときや苦痛を抱えているときに涙を流しません。しかし感情的であれ、肉体的であれ苦痛を感じている時に声を出すなど行動の変化が見られます。そういった時の猫の鳴き声は、日常的なおしゃべりに比べて、低い声で長い鳴き声になります。猫が苦痛を抱えているときには、以下のような徴候が見られることがあります。
活動量の減少(睡眠時間の増加)
震えていたり隠れて出てこない
グルーミングをしなくなる
トイレ使用の変化(回数や粗相など)
食欲減退
攻撃性の亢進
行動の変化は、感情的または身体的な苦痛を示している可能性があります。定期的に、頭のてっぺんからつま先やしっぽの先まで観察し、実際に触って異常がないか、痛いところがないかをチェックしてください。もし猫に「シャーッ」といわれても、それはあなた怒っているのではなく、怖かったり不安を感じているか、触ったところが痛いと伝えているのです。
過剰に涙がでるのは、猫が悲しみや痛みで泣いているのではありません。通常、猫が涙を流している場合は、結膜炎や涙管の詰まり、あるいは目の感染症などの可能性があります。
猫が鳴く意味
猫のコミュニケーションにおいて、鳴き声はファーストチョイスではありません。その代わりに、ニオイやボディーランゲージ、触れ合いを通してコミュニケーションを取ります。猫が鳴いているのには何かがおかしいということを伝えているのです。
心理的な不安定(不安・心配・緊張など)
ペットカメラを設置して留守中の猫を確認したときに、猫が何かを探して鳴いている場合、分離不安の可能性があります。それは、引っ越しや新しい家族など環境の変化によって引き起こされることもあります。
深い悲しみや哀悼
猫は単独性動物で、野生においては単独で狩りを行い縄張りを守ることが一般的でした。しかし、現代の家猫は、人間やほかの同居する猫と深い絆で結ばれています。最近では家族を亡くした場合、猫は恋しがって鳴くことがあります。
認知症
猫の認知症は10歳をこえると顕著になります。人間のアルツハイマー病とは異なり、加齢による不可逆的な脳の退行性変化=認知機能障害症候群(CDS)と呼ばれています。特に夜になると、猫は混乱して人間に助けを求めて鳴くようになります。常夜灯を設置することで夜間の鳴き声も軽減されます。
関節炎
10歳以上の猫のほとんどは、何らかの関節炎を患っていると推定されています。したがって、シニア猫を飼っている場合、鳴くことは痛みを意味する可能性があります。猫の関節炎の徴候は、階段を避ける、ジャンプが困難になる、その他のその他の運動能力の変化があります。
そのほかの身体的な状態
鳴くことも含め、突然の行動変化は健康上の問題が考えられます。根本的な懸念を排除するために動物病院で診察を受ける必要があります。例えば、難聴の老猫はいつもより鳴くことがあり、心臓や腎臓の問題で高血圧の猫は声を出すことが知られています。
突然の行動変化には、鳴き声も含め、根本的な健康上の懸念を排除するために獣医師の診察が必要です。聴覚に異常のある猫は通常よりも大きな声で鳴くことがあり、心臓や腎臓の問題により高血圧になっている猫はよく鳴くことが知られています。
猫が悲しくて鳴いているときにできること
猫がもっとも信頼できるパートナーを亡くしたときには、悲しみや喪失感から、鳴き続けることがあります。その期間は愛情や絆の深さによって異なり、数日であることもあり、数カ月になることもあります。
私たちが自分自身や他人を慰める方法を見つけるのと同じように、私たちも愛猫のために同じことができます。悲しみを癒してあげることは可能なのです。
もっとも大切なことは、愛猫との時間を大切にすることです。いっしょに遊んだり撫でてあげるなど質の高い時間や、特別なおやつなどを与えるのもいいでしょう。
なるべく一人にしないことも重要です。もし留守にする時間が長いのであれば、家族や友人、シッターに頼んで愛猫のケアをしてもらいましょう。積極的にコミュニケーションを取る必要はなく、お世話やその場にいてあげるだけでもよいのです。
テレビや音楽を流しておくことも効果的です。また、猫を癒す感覚的ものは視覚や聴覚だけではありません。猫は嗅覚によっても識別を行います。ですから、愛猫のお気に入りのブランケットや、あなたのニオイが残る衣類などを置いておくと安心することができます。
まとめ
猫は、悲しみや心の痛みなどの感情から涙を流すことはありません。しかし、感情を鳴き声で表現することはするようです。ですので、涙が出ている場合は目の健康に問題がある可能性があるので診察を受けるようにしましょう。
また、鳴くという行為も感情的なもののほかに、疾患などの痛みや認知症が考えられます。感情的なものであれば、不安や喪失感を取り除くことで改善するでしょう。しかし、疾患が疑われる場合は、すみやかに動物病院で診察を受けることが大切です。
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【猫飼いTIPS】猫は悲しさや苦痛を抱えているときに涙を流す? ~猫の行動学の専門家が解説