おしっこは現在の犬の健康状態を知るための重要なバロメーターです。なぜなら、おしっこの異常が何らかの病気のサインかもしれないからです。
愛犬のおしっこの色がいつもと違うときには早めに獣医師の診察を受け、適切な処置をしてもらうことが大切になります。今回は犬のおしっこの色についてのお話です。
正常なおしっこの状態
犬の健康なおしっこの色は、薄い黄色です。食事の内容、飲水量、活動量などによって変動することはありますが、基本的にはそれを保ちます。
寝起きや運動後などの水分不足の時は色が濃くなり、水をたくさん飲んだり、水分が多い食事を取ったりした後は色が薄くなります。このような一時的な色の変化は問題ありませんが、つねに色が濃かったり、薄かったりする場合には注意が必要です。
おしっこの色で疑われる病気とは
食事の内容、飲水量、活動量などを変えていないのにおしっこの色に大きな変化が見られた際には、何らかの病気が疑われます。色により考えられる病気も変わってくるので、その色の違いを見逃さないことが大切です。
赤っぽい色
赤っぽい尿は、血液が含まれる血尿の場合が多く、腎臓から尿道口までのどこかで出血しているというサインです。鮮やかな血尿の場合は尿道などからの出血が考えられます。
茶褐色や濃赤の場合は血液成分が変性している状態で、腎臓などからの出血の疑いがあります。しかし、出血がなくてもおしっこが赤くなることがあります。
血色素尿と呼ばれる赤血球の成分のヘモグロビンが多く含まれる尿で、犬の場合はタマネギ中毒、免疫性溶血性貧血(免疫介在性溶血性貧血)、急性犬糸状虫症(フィラリアの急性期)、バベシア症(マダニが媒介する感染症)などで、溶血(なんらかの理由で赤血球が壊れた状態)が起こったときに見られます。
筋肉が何らかの原因で障害を受け、血液中に大量のミオグロビンというタンパク質が出てしまい、尿の色を赤っぽく変色させてしまうこともあります。激しい運動で筋肉を酷使、打撲や挫傷などのケガ、筋炎(炎症により筋肉が破壊された状態)、極度の緊張や興奮などが要因になります。
濃い黄色(オレンジ色)
尿中にビリルビンが含まれる状態をビリルビン尿といいます。これは肝臓で衰えた赤血球が壊れてできる黄色い成分で、多くは胆汁中に排出されますが、肝臓からの排出が悪くなると腎臓から尿中に排出されます。
肝機能障害や胆汁のうっ滞(胆汁の流れが悪くなること)が起こったり、黄疸型のレプトスピラ症を患った場合には、このような状態になります。そのほか、熱中症による脱水、何らかの原因による発熱でもこのような尿の色になることがあるので、注意が必要です。
透明に近い薄い黄色
水を飲む量が増えると、必然的におしっこの量も増えて色が薄くなります。しかし、つねに多飲多尿の状態が続くようなら、糖尿病や尿崩症(尿を薄めて排出する病気)、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)が疑われます。また、慢性腎臓病などが悪化した場合も機能低下によりおしっこを濃縮できず色が薄くなります。
緑色(濁った黄緑色)
犬が緑色のおしっこをした場合には、緑膿菌に感染している可能性があります。緑膿菌とは地球上のさまざまな環境に存在している常在菌のひとつで、膀胱炎や前立腺炎を引き起こす原因になっています。この菌は緑色の色素を排出する性質があり、感染するとおしっこが緑色に変色します。
白っぽく濁っている
犬のおしっこが牛乳のような乳白色、または白く濁っている場合は、膀胱炎や前立腺などで炎症が起こっている場合に見られます。白血球が多く含まれた状態で、「膿尿」といいます。
犬糸状虫症(フィラリア症)である場合にもこのような尿になります。フィラリアの寄生によってリンパ管が拡張し、リンパが腎臓に逆流して尿に混ざります。リンパに含まれている脂肪の影響で、尿が白濁して見えるのです。
白濁した尿は「乳び尿」と呼ばれます。血液が混ざるとピンク色に見えることもあるので、「血乳び尿」と呼ばれることもあります。
キラキラ光っている
通常の尿の色でもキラキラと光って見えるときは、尿石症の疑いがあります。光っているのはおしっこのなかのミネラル成分が結晶化したストラバイトで、放置すると尿路結石や膀胱炎、尿道閉鎖などを引き起こす可能性があります。
日ごろからおしっこの色をチェックする習慣を
散歩に行ったときにおしっこをする習慣の犬の場合には、異常に気付くのが遅くなりがちです。外の明るさや暗さで、おしっこの色がわかりにくいからです。室内のペットシーツの上でしたおしっこの色も、時間が経つと変色します。
いずれにしても直接出ている愛犬のおしっこを確認することが大切です。正常な状態の愛犬のおしっこの色を覚えておきましょう。
まとめ
おしっこの色は、健康管理の重要な手がかりとなるので、普段から愛犬の正常な状態のおしっこの色を覚えて毎日観察しましょう。おしっこの色がいつもと違うと感じたら、その愛犬の様子やおしっこの回数、ニオイ、量なども確認することが大切です。
また、おしっこを採取して、動物病院に持参するのもよいでしょう。愛犬にほかの症状も見られる場合には、早急に獣医師の診察を受けるようにしましょう。
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【犬飼いTIPS】おしっこの色で疑われる病気とは~おしっこの色で健康を見極めよう