フェラーリ テスタロッサ、またもやオークションに現る
1980年代の英語圏では「ピンナップカー」と呼ばれた、少年たちが子ども部屋の壁にピンナップとしてその写真を貼りつけたくなるような、アイドル的なクルマたちが存在しました。そして日本の「スーパーカーブーム」とは時期が若干ずれる、当時のピンナップカーたちは、今や「ヤングタイマー・クラシック」として、大人になった少年たちのコレクターズアイテムと化しているようです。RMサザビーズ北米本社が2024年3月1〜2日にフロリダ州マイアミ近郊の町、コーラルゲーブルズにある歴史的なビルトモア・ホテルを会場として開催した「MIAMI 2024」オークションに出品されたフェラーリ「テスタロッサ」は、そんなピンナップカーの最たる例。今回はそのモデル概要と注目の最新オークション事情について、お伝えします。
80sカルチャーのスーパーヒーロー、フェラーリ テスタロッサとは?
その流麗にして堂々たるプロポーションに、奔放なフィンつきのサイドストレーキ。そして強力な12気筒エンジンを搭載したフェラーリ「テスタロッサ」は、1984年パリ・サロンにおけるデビューと同時にセンセーションを巻き起こした。
ミッドシップに搭載されたパワーユニットは、1973年のデビューから連綿と進化を図ってきた「BB」系ユニットを4バルブ化した、180度V型12気筒4カムシャフト4943cc。つまり排気量は「512BB」系から不変ながら、48バルブ化によって「512BBi」から50psアップとなる390psまで増強していた。
このボクサー12エンジンを、BB系の2500mmからホイールベースを50mm延長した鋼管スペースフレームに搭載。290km/hの最高速度を標榜した。
いっぽう、新時代のフェラーリを宣言するごとき意欲的なボディはもちろんピニンファリーナが、デザインだけでなく架装まで担当。デザインワークは同社に所属していたスタイリスト、エマヌエーレ・ニコジアが中心になって手がけたとされる。
そして1980年代が幕を閉じるころには、テスタロッサはこの時代を象徴する奔放な野心と過剰なセンスの代名詞となっていた。大衆の想像力をかき立て、大衆文化のニッチを切り開いたテスタロッサは、米国の大ヒットテレビシリーズ『マイアミ・バイス』の主役的存在となり、マイケル・ジョーダンにM.C.ハマー、マイク・タイソンといった世界的なスーパースターたちが、このアイコン的スーパーカーをガレージに加えたいとする夢を実現した。
フェラーリの画期的なスーパーカーは、まさしくピンナップに相応しい「美貌」だけではなく、当時のクラストップレベルのパフォーマンスにより、デビューからちょうど40年の歳月を経た現代においても、全世界的なステイタスシンボルであり得ているのだ。
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バブル期の憧れのフェラーリが1870万円! 世界のスーパースターがこぞって買った「テスタロッサ」が狙い目です