ロードスターの世界観をさらに広げる限定車がたびたびリリースされた
最初のNA型が登場してから今年で33年、2代目のNB型へとバトンタッチしてからもすでに24年が経つ。けれど筆者は元NA型オーナーだったこともあってか、いまだに“ユーノス・ロードスター”の呼び名のほうがじつはシックリくる。誤解のないように書いておけば、決して2代目以降のマツダ・ロードスターに興味がないワケではないし、現在の4代目ND型までマツダが連綿と大事に育ててきたロードスターは、あらためるまでもなく素晴らしく偉大な存在だ。ND型が登場した際、当時デザインのまとめ役だったマツダのNさんが「変えないために変える」と仰っているのを聞いて「なるほどな」と思わせられた。
とはいえ、やはり初代“ユーノス・ロードスター”の存在は大きかった。世界中の名だたる自動車メーカーを巻き込んで、小型オープン2シーターのブームを起こしたのはご承知のとおりだが、「やっぱり走らせて楽しいクルマは理屈抜きでいいよね」と、多くのオープンモデル初体験のユーザーからエンスージャストまでを虜にした功績は大きい。
30km/hで流していても楽しいロードスター
何を隠そう(すでに表明済みで隠していないが)筆者も最初のユーノス・ロードスターに心を奪われたひとり。周囲で何人ものロードスター乗りが現れるなか、どちらかというとマイナーな車種を選ぶタイプだったにも関わらず、ユーノス・ロードスター(と新旧ミニ)は例外的に呆気なく気持ちが靡き、その気持ちに抗わずに乗ることを決めた。
前にどこかでも書いたが、いざ注文書にサインをするためディーラーに出向き、必要事項を書き終えた書類を確認する段になり、超人気車だったから「諸費用はこちらで、それとお値引きは0円となります」とサラッと念を押されながらもそんなことは上の空で「はい、わかりました」と返事をしたのを覚えている。
ともかくユーノス・ロードスターはたとえ30km/hで流していても楽しく、オープンで走らせていると少し低く粒立ちのいい排気音(標準のマフラーで筆者には十分だった)を時折楽しみながら、小野リサやゴンチチのCDを聴きながら走らせて爽快な気分を味わったものだ。
ところでそんな初代ユーノス・ロードスター時代には、クルマの世界観をさらに広げる限定車がたびたびリリースされた。限定車というと、オーナーの立場としては標準モデルにはない仕様、装備であれば羨ましい存在でもあるもの。
だが自分のロードスターを存分に自分仕様にして乗っていた最中だったから(そんな話は標準車の話ができる機会があればそのときにでも)、羨ましいのはもちろんだったが「ほほぉ、その色で来ましたか」などと、割と冷静にもうひとりの自分が眺めていたようにも思う。とはいえパンフレット(カタログ)を入手し、今でもとっておくくらいだからキライじゃないどころか、つねに興味津々であったことは確かだが……。
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初代ロードスターの偉大さはココでもわかる! マツダ以外からも多数登場した「限定車」の魅力