現存する2台のうちの1台
2023年9月15日、RMサザビーズがスイス・サンモリッツで開催したオークションにおいてメルセデス・ベンツ「190E 2.3-16 ニュルブルクリンク」が出品された。今回はいくらで落札されたのか、同車について振り返りながらお伝えしよう。
生産台数はわずか21台の希少モデル
1984年5月12日、メルセデス・ベンツはドイツ・ニュルブルクリンクで「ニュルブルクリンク・チャンピオンズカップ」というエキシビションレースを開催した。
このイベントはメルセデス・ベンツがコスワースの手を借りて開発した2.3Lの16バルブエンジンを搭載し、当初はWRCへの参戦、その計画がついえたのちにはDTM制覇を狙って開発した190E 2.3-16のデビューと、ニュルブルクリンクのコース改修を記念して開催されたもの。参加したドライバーは当時12人いた現役F1チャンピオンのうち9名と、元F1パイロットやニュルブルクリンクにゆかりのあるドライバーなど計20名だった。
ここで使われたマシンは、市販用190E 2.3-16をベースに排気系やサスペンションのグレードアップ、対向4ポット式ブレーキキャリパーへの変更、レカロ製フルバケットシートの装着、クイックリリース式ボンネット、マスターカットオフシステムの装備、ワイドホイールの装着などをおこなったサーキット走行専用車だった。製作されたのは予備車も含めて21台だったそうだ。
ウエットコンディションでおこなわれたレースは、ポールポジションからスタートしたアラン・プロストがホールショットを決めたものの、1周目の4コーナーでエリオ・デ・アンジェリスから接触を受け両車とも後退。その後アイルトン・セナと、当時マクラーレンでプロストとともに闘っていたニキ・ラウダがバトルを繰り広げる、という展開となった。結果、優勝したのはセナ。2位にはラウダが入っている。
今回スイス・サンモリッツで開催されたRMサザビーズオークションに出品されたのは、その時に使われたニキ・ラウダ車だ。21台製作された専用の190E 2.3-16は、優勝したセナ車だけがメルセデス・ベンツ・ミュージアムで保管されることとなり、3位以下のクルマはオリジナルの仕様へと戻され、中古車として販売されてしまっている。つまりこのラウダ車は、このレースで使用されたオリジナルモデルとしては唯一、市場に流通したものということになる。
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バブル時代の「小ベンツ」が5000万円オーバー! 理由はニキ・ラウダが乗った超貴重な「190E 2.3-16 ニュルブルクリンク」でした