スワロフスキーで満艦飾のハーフスケールEタイプ
先ごろRMサザビーズ欧州本社の中東およびアフリカ地域への進出が発表されたことを記念して、2024年3月8日に、アラブ首長国連邦ドバイにて初のオークションが開催されました。今回はその出品ロットの中から、まさしくドバイ的なオートモビリア、あの「スワロフスキー」クリスタルと24金メッキでキラキラに加飾された、ジャガー「Eタイプ」のチルドレンズ・カーを紹介します。
大きな子ども向けのアイテム
これまでAMWでもしばしば取り上げてきたように、子どもや、時には大人も乗ることのできるサイズに縮小された「チルドレンズ・カー」ないしは「ジュニアカー」は、モデルとなるホンモノのクルマの再現度や作り込みの精巧さなど、子ども用のおもちゃの領域をはるかに凌駕し、大人の自動車愛好家を満足させ得るコレクターズアイテムのレベルに達したものも少なくない。
これらの高級チルドレンズ・カーは、その多くがコレクターのガレージ、またはリビングルームに置かれ、実際には一度も走らせることのないまま、オブジェとして展示される運命にあると聞く。
ドバイ好み(?)のゴールドキラキラ仕立て
今回RMサザビーズ「Dubai」オークションに出品されたのも、明らかに子どもを乗せての走行には向かない1台といえよう。2019年に英国「ハーフスケール・カーズ(Halfscale Cars)」社が、英国の名門百貨店「ハロッズ(Harrods)」との独占パートナーシップにより店頭販売した、ジャガー「Eタイプ」の子ども用1/2スケールモデルである。
ハーフスケール社は、じつに10万個以上のスワロフスキー「シリウスカット」クリスタルで装飾されたボディワークを特徴とするEタイプを、ハロッズとともに企画。英国の工房にてハンドメイドで製造され、1台あたりの作業時間は300時間を超えていたとのこと。すべてのスワロフスキー・クリスタルは、実物の半分サイズのEタイプにひとつひとつ手作業で貼りつけられたといわれている。
いっぽうブライトワークは、豪華な24Kゴールドメッキで仕上げられる。インテリアでは、エクステリアと同じくゴールドメッキのステアリングホイールも装備され、色合わせした金色のダイヤモンドステッチ入りのレザーがさらに引き立っている。
すでにハロッズでの限定販売は終了しているというこのクリスタルEタイプは、ペダルカー、ないしは電動車としてオーダーが受け付けられたとのこと。今回のオークションに出品されたのはペダルカー仕様ながら、実際のところは1/2スケールのジャガーEタイプをかたどった、ゴールドとクリスタルのオブジェ。そして従来の自動車趣味人ではなく、主に新興国の現代的な富裕層向けの商品と見るべきだろう。
悪趣味と取られたのかビットは伸びず……
今回のRMサザビーズ「Dubai」オークションは、舞台はドバイながら売買はすべて米ドル建て。また、いかにも中東好みなテイストの商品と判断されたのか、2万ドル〜3万ドルという強気のエスティメート(推定落札価格)が設定されていた。ところが2024年3月8日に行われた競売ではビッド(入札)が伸びず、結局1万4400ドルという売り手にとっては不本意だったに違いない価格で落札されることになった。
たしかに、現在のレートで日本円に換算すると約220万円というハンマープライスが、けっこうな高額であることには間違いあるまい。でも、2019年にハロッズから発売された時には、たしか4万ポンド(当時のレートで約550万円)のプライスづけがなされていたことを思い出すと、やはりこの種のトリックスター的な商品の価格は、オークションなど現場の雰囲気に流されやすい不安定なものと判断せざるを得ないのである。
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24Kゴールドとスワロフスキー仕立てのジャガー「Eタイプ」が220万円! 子ども向けのペダルカーにしては高額? それともお買い得?